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屋久島へ行く~苔むした森と神様の住む山へ~

屋久島に来て、山登りをするなんて、選択肢になかった。
案内してくれたDaiくんも、考えてなかったと思う。
「小さい子がいても楽しめる森はいくらでもあるよ」と、言ってたし。

のりぞうが合流する事になって、明日はどこの森に行こうか?って、話をしてたら、
ふいに「・・・黒味岳って山があってさ」と、言いだした。
神々の住まう、奥岳と総称される山の一つで、途中の山小屋でテントを張って寝るという。

屋久島の森に入ったら、森のエネルギーをたくさんもらえるんだろうな。と思ってた。
あくまでも「小さい子がいても楽しめる森」で。
だけど、Daiくんの話を聞いていたら、なんだかワクワクワクワクしてしまって。
あの森の中で一晩すごしたら、どんな事になるんだろう?
神様の住む山からの景色ってどんななんだろう?そんな、ワクワク。

屋久島は、雨が多い所として有名だけど、実は私たちが到着してからは1度も雨が降らなかった。
これからの予報も晴れマークだという。珍しいそうだ。お天気も味方になってくれてるような。

かくして、全く選択肢になかった、まさかの「黒味岳1泊登山コース」に出発する事になった、カシハラケ。

登山口までは、車で向かい、途中で紀元杉(樹齢3000年)に逢った。
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めちゃめちゃでかかった。

淀川登山口に到着し、アイヌのお祈りをして、神様にごあいさつをして、山に入る。
自然に感謝し、自分と、繋がる人々に感謝し、目に見えない存在に感謝する、アイヌのお祈り。

そうして入った苔むした森は。
もう、何もかもが圧倒的なのだった。森のサイズ感が想像を超えたでっかさで。有名な名のつく大木は紀元杉だけだったけど、
樹齢千年を超える名もなき巨木が、あちらこちらにどっかんどっかん、生えている。

どっかん
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どっかん
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Daiくんのガイドは、ただ感じる。森と繋がる。そうしてゆっくりと開かれていく。
という事を大切にしているため、多くの言葉は語られない。
圧倒的な森の中では、多くの言葉なんていらない。
いらないけど、私は、より深く森を感じて、繋がるために、モノ言わぬ者の声なき声をコトバにして伝えてもらう
事は、絶対に必要だと思っている。ただ歩くだけでは絶対わからない世界を、コトバを通じて
感じる事ができるから。以前、高尾山を坂田さんの案内で歩いた時に、痛感した事だ。

知識を伝えてくれるガイドさんはたくさんいる。
だけど、自然の側に立って、森や植物の声を伝えてくれるガイドさんは、希少だ。
Daiくんは、そういうガイドをしてくれる。森のガイドさんって、いいなぁ。
モーレツにうらやましい。

・・・そんな事を思うのは、元ガイドの性であろうか。
森を感じて、繋がる、とは別の場所で、Daiくんの言葉をすべて自分の中に取り込んでしまったのは、
それが全部、心に残るコトバだったからでもあるけど、たぶん、職業病だろうな^^;
映画を見に行って、本編とは別のところでライティングとか気になっちゃう照明さん、
みたいな?←のりぞうですよ(笑)

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重たい荷物をしょって、弱音を吐きつつも、がんばるソータ。がんばれ。

森を歩いていると、人間はなんてちっぽけなんだろうと思う。
私たちは自然の一部だ、と感じる。
というか、私は、自然の一部というよりは、自然と自分たちが「同じものである」という
感覚を強くした。形は違うけど、同じものからなっていて、同じ法則で生きている。
・・・じゃなくて、生かされてる。

写真を見ると、わかるのだけど、樹は、それ単体ではなくて、いろいろな植物が
着生しているのがわかる。違うもの同士が着生し、新しい命が芽吹いている。
着生して、一つのかたまりになってる木々を、家族みたいだなと思った。
違うもの同士が一つのコミュニティをなし、それらが集まって森をなす。
家族というコミュニティが集まって、社会をつくる、私たちと同じものたち。

それぞれに役割があって、それぞれを生きる。
名もなき大木は、立ちながらにして、朽ちていき、朽ちながらにして、新な命が芽生える。

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木が倒れてしまっても、それは死ではない。
倒木に苔が付着し、苔はお布団の役割をし、新たな命が芽生える。
いつしか、倒木は朽ちてなくなる。根っこをくぐれるような。空洞がある木は、
そこに倒木があった証だそうだ。

ここには、生も死もなく、ただ、変化と循環がある。
そんな中を、歩く、カシハラケ。
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これ、好きな写真(^^)

登山口から、1時間強歩いて、淀川の山小屋に到着。ここで、お泊り。
水の透明感がハンパなかった。
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ついに、ソータも裸族に。遠いから、いっか。自主規制なしで(笑)
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日が暮れて、ろうそくの小さな明かりの中、ご飯を食べた。
闇の中で、川の流れる音を聞いて、森の呼吸を感じた。

暖かい飲み物が体をほぐして、ほっとした。
EarthTribesのツアーは、お茶の時間を大事にしてるそう。それは、嬉しい。

「コーヒー、紅茶、カフェラテ、紅茶ラテ、もずくスープ、めかぶスープ、わかめスープ、
コーンスープ、春雨スープに、みそ汁。どれがいい?」

と、一気に聞かれ、「えーと、もう1回お願いします」と、言うほどのラインナップ(笑)
最初は、覚えられなかったけど、最後の方は覚えてしまった。それくらい、たくさんお茶の時間を
取ってくれて、恵美香ちゃん手作りの「豆乳米粉黒糖バナナケーキ」も絶品だった。
今後は、恵美香ちゃん手作りの薬草茶など、ますますお茶のラインナップを充実させて
いくそうです。ステキー☆

子ども達がテントで寝たあと、お茶をしながら、静かな時間の中で、
「ここの森に入ると、森が中心に戻してくれる」「自分が中心と思い込んでたところじゃなくて、
本当の、中心に戻してくれるんだよね」と、話してくれた。

確かに、そう感じる。
自分の中にある常識とか、価値観をなくした、ヒトとしての、中心。そのまんまの、自分。

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テントで寝るのは、久しぶりだった。浅い眠り、だった。
森の中で寝てると、30分とか1時間おきに、体全体が、
ぐわーーーっというか、じわーーーっというか、もわーーーっというか、となって、
それで、ふわーーーっとほどけるみたいな。
どういう擬音で表したらいいのかわからないけど、不思議な体感を何度も何度も繰り返し、
あまり、眠れなかった。眠れなかったけど、寝不足は感じなかった。

樹々の声などは聞こえなかったけど(←そんな簡単に聞こえたりなんて、しないのね)
森のエネルギーをいただけたのかな。と思う。不思議な不思議な感覚だった。

同じくらいのタイミングで、隣のパパのテントもゴソゴソしてるから
「パパも寝れないのかな?」と、思ったけど、後で聞いたらパパは、逆に
「やばい!寝すぎた!」と思って、目が覚めたら30分しか経ってなかった、みたいな事を
何度も繰り返していたらしい。眠りが深かったんだろうね。

それぞれに、必要なものをもらったみたい。
子ども達は、どうだったんだろうか。二人とも、爆睡、してました。

by sacci38 | 2012-09-20 09:23 |