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農にふれる。その3 ~飯田農園というところ~

思いがけずというか、やっぱりというか、長編になりました。
その1 と その2

田植えの後は、コウジさんが薪で炊いてくれたお風呂をいただいた。
子連れ特権で、一番風呂。すいません^^;ありがとうございます。
泥だらけで、冷たくなった身体をお風呂で温めた後、みんなとは別に、飯田家の
居住スペースにお邪魔して、コウジさんの奥さん、かなこさんと、いろいろとお話しをうかがった。

「子ども達二人も連れて、よく来たねぇ・・・」と、言われた。
・・・自分が一番、そう思ってます。あはは。

「飯田農園は、コウジさんが自ら開墾した土地」という事は聞いていたけど、
自給的暮らしをする、と場所探しから始まって、この場所に移住を決めたころは、
電気も水道も通っていない土地だったという。
セルフビルドで家を作り、重機も耕運機もない中の耕作放棄地を、コウジさん一人で開墾し
(かなこさんは、妊娠出産をされたばかりだったそう)
有機・無農薬栽培の野菜やお米を作る農園を、開かれた。

言葉にするとあっさりだけど、すごく大変だっただろうな
・・・なんて書くこともはばかられるほど想像を絶する物語だと思う。

潤くんの東京野菜計画のお野菜を知ったころ、放射能の影響を考えて、
できるだけ西の産地のものを選んでいたので「茨城県産」と聞いたとき、
実は、一瞬、躊躇してしまった自分がいた。

だけど、ここの野菜はこんなところで作られてて、この○○がめっちゃおいしくってね・・・
って、生き生きと話す潤くんを見てると、放射能の事は、気にならなくなった。
「どこで作ってるかじゃなくて、誰がつくってるかを大事にしたい」そう思って、
お野菜を買わせていただいているのだけど、ここにきて、農園に触れ、
作る人に出会ったこと、さらに、自分がいかに農の現場での無力かを思い知ったことで^^;
これまで以上に感謝の気持ちが大きくなった。

言うまでもない事だけど、これだけ手間ヒマかけて野菜つくりをしようとしてる人達なので、
消費する私たちより、放射能の影響は考えないわけがないのであった。
飯田農園あたりの八郷地区は、JAが率先して放射能検査を行っているそうだ。

かなこさんとは、本当にいろんな事をお話させてもらった。
移住当初の、山での暮らしの事や、
自給した野菜だけで食べていくので、毎日毎日同じ野菜が食卓に並んで、
意外に食料難だという事(笑)←最初は、食事のメニューを考えるのも大変たっだらしい。
震災後の生産の現場の事、
野菜の事、
かなこさんが作っておられる陶芸の事(かなこさんの器、とても素敵です)
かなこさんが書いてるお野菜通信や、ブログ、食育系ネコ漫画の事、
子どもの事、
いろーんな事。

とてもとても書ききれない。

途中で何度も「子ども連れてよく来たねぇ」の話になったけど(笑)
田植えにしても、ここでお話させてもらってることにしても、
雨が降ってても、子連れでも、私は今日、ここにくる運命だったんだと思う、という結論になった。

農薬や化学肥料を使わずに、微生物やミミズや虫たちの力を借りて、
土を蘇らせるところから始まったこの農園の野菜を、私たちは、いただいている。
コウジさんのお野菜を、たくさんの人に食べてもらいたいと思う反面、
今のような生産方法だと、どうしても作られる量も限界がある、という話にもすごく考えさせられた。

かなこさんは、ここに移住してからの自分の体験や、感じたことなどが、
いつか何かの役に立つはずだと、山を開墾して、家をつくり、
有機農家になった就農の物語を一冊の本にして、出版された。去年の、震災の頃に。

「わたしがあぐりびとになるまで」

本当は、この本を通じて、これからの生き方を考える人に、農業って選択肢もあるよ。
農業もいいよ。って伝えたかったけど、震災があって、農業いいよ!って
大きい声で言えなくなってしまったと、かなこさんは言っていました。

本を、見せていただいていたら、
「私たちの話から何かを感じてくれる人に読んで欲しいから」といって、
その本をプレゼントしてくださった。
帰り際には、コウジさんから、飯田農園のお野菜をおみやげにたくさんいただいて。
私、全然お役に立てなかったのにー!
もう本当にどうしたらいいのだ、という。ありがとうございますじゃ、全然足りなくて、
どう表現したらいいのか、わからない。たぶん、この文章でも全然伝わってない^^;

帰る直前、飯田農園のお米をおにぎりにしてもらったのだけど、
これが、お世辞でもおおげさでもなく、びっくりするほど、おいしかった。
普段食べてるお米も、無農薬を選んでいるけど、それでも全然違う。
「モミのまま保存してるのを精米して炊いてるから」と、おっしゃっていた。
本当に、びっくりするほどの、おいしさだった。

ソータが、しみじみしみじみと「このごはん、ホントにおいしい」と言って食べていた。
飯田農園を後にして、疲れてるから、すぐ寝るだろうと思ってたけど
結構起きてたソータと、いろんな話をした(ケースケは爆睡)

「ソータ、今日の田植えした時のガッツがあったら、なんだってがんばれるし、
なんだってできるよ。すごく偉かったね」って、めっちゃ褒めてあげた。

この体験後、学校の先生から「ソータ、最近変わりましたよね」とか言われたり。
だいぶ時間がたってからだけど、ある日突然「ごはんはね、食べる命だよ」と言って
私をびっくらこかせた名言も、きっとこの日の種が芽を出したのだと思っている。

*******
そして、帰ってから、かなこさんの本を読ませてもらい、また、いろいろ考えさせられる日々です。
あの山に暮らし始めてから、何度も何度も「幸せに生きるってなんだろう」
「私の幸せってなんだろう」と、考えたという、かなこさん。

飯田農園のコウジさん、かなこさん、お子さんたちとネコは、
自分たちの幸せを、カタチにした暮らしをされている。不便で大変な事もあるけど、
とても豊かで、素晴らしい暮らしだ。

祝島を訪ねた時と、同じ気持ちになる。
「ここの生活は、すばらしい。だけど、私にはできない」

↑この言葉は、私だけじゃなく、農園を訪れた、何人ものお友達からも言われたことは、
本を読んで知った。

でも「私にはできない」で、終わっちゃダメだと、思った。
私たちが手にする「当たり前」の、向こう側を、もっと知る事。
人にフェアで、大地にピュアなものを選ぶ事。
選んで、お金を払って感謝するだけでなく、もっともっと感じる事。
豊かとはなんなのか、幸せとはなんなのか。

自分なりの、答えを、カタチにする努力をすること。
「自分のできる事をする」というのは、いつも思ってるし言ってることだけど。
できる事をするのは、当たり前なのだ。できる事を増やす努力を、しよう。
と、そんな風に今は思っている。

「今日の事を、文章にしようと思っても、いろいろな思いがありすぎて、
何からどう書いていいのかわからないし、きっと伝えきれない」
と、かなこさんには言ったけど。

案の定、壮大になり、伝えきれないけど、こんな形に、なりました(笑)

かなこさんのブログは こちら

かなこさんの本は、アマゾンで買えます こちら

かなこさんのかわいらしいイラストで、山の生活が書かれていて、読みやすく、
とっても素敵な本です。

今回の田植えワークをオーガナイズしてくれた、TYKの潤くんは、Jamhouseブログの
東京野菜計画のカテゴリーから こちら

TYKは、飯田農園さんだけでなく、潤くんが自らの足で開拓した
有機・無農薬でがんばっておられる生産者さんの元気なお野菜が買えますよー♪
農にふれる企画、これからもやってくれるそうです(^^)

秋には、ソータに「オレが植えた米」を収穫させてもらいに行きたいと思います♪
飯田農園さん、潤くん、一緒に田植えに行ったみんな、本当にありがとうございました。

by sacci38 | 2012-07-14 02:56 | おでかけ